卒業式式辞(令和2年2月28日)

式 辞

春の訪れを感じる頃となりました。

本日ここに、愛知県立犬山南高等学校第四十回卒業証書授与式を挙行するに当たり、大変御多用な中、御来賓として犬山市議会副議長・同窓会副会長 大澤秀教様、犬山市教育長 滝 誠様 名古屋経済大学学長 佐分晴夫様をはじめ、学校評議員の皆様、PTA関係の皆様に御臨席を賜りました。高いところからではありますが、厚く御礼申し上げます。

また、保護者の皆様には、お子様の大きな節目である高等学校卒業の日を迎えられ、その感慨もひとしおのことと存じ、心からお喜び申し上げます。あわせて、三か年にわたり、本校の教育活動に多大なる御支援・御協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。

さて、二百十四名の卒業生の皆さん。卒業おめでとうございます。皆さんは、創立四十周年となる大きな節目の年である平成二十九年四月、真新しい制服に身を包み、本校の校門をくぐりました。以来、三か年にわたり学習や学校行事、部活動などに励み、充実した学校生活を送られ、本日、本校を巣立つこととなりました。

毎日、登った二百メートルのがんばり坂 暑い日も寒い日も文字通りがんばりました。 毎朝、取り組んだ十分間の教科「向上」 基礎学力を身に付ける絶好の機会となりました。 毎回、音楽に合わせ準備した授業 時間を守り、授業を受けようという姿勢を身に付けました。 毎日、一生懸命に取り組んだ部活動 苦楽を友人と共にし、やり抜く心を身に付けました。 栗陵祭や球技大会などの学校行事 楽しむだけでなく、クラスで団結して思い出をつくりました。 この他にも皆さんは、さまざまなことを体験してきました。楽しい思い出ばかりではなく、苦しかったことや辛かったこともあったでしょうが、乗り越えることができたのは、御家族や地域の皆様そして友人や先生方など周りの方々の支えがあったからではないでしょうか。

皆さんは、令和最初の卒業生となります。その意味で、皆さんはまさに時代の転換点に立っています。いつの時代でも未来を予測することは簡単ではありませんが、これから皆さんが歩んで行かれる令和の時代は、デジタル化が生活の全般に及ぶ新しい時代となります。

では、こうした新時代を生き抜いていくためにはどうすればよいでしょう。予測される変化があります。ますますの長寿命化、人工知能やロボットの一層の進化、更なるグローバル化などです。一方、先が見えない大きな課題もあります。地球環境の未来、国際経済の動向、大国間の覇権争いの行方などです。いかに社会が変化しようとも、皆さんは新時代を生き抜いていかねばなりません。そこで、卒業にあたり皆さんに二つのことばを贈ります。

一つ目は、「向上と内省」ということばです。これは、本校の校訓です。向上は「できることを増やす」、内省は「自分の行動を振り返り次に生かす」を意味しています。皆さんは、この校訓を心に留め日々の学校生活のさまざまな場面で実践し、成長してきました。今後は、この校訓を残りの人生の中で実践してほしいと考えます。AIやロボットが進化した社会では、仕事と働き方が大きく変容します。こうした社会で、職業生活を送っていくためには、日々「向上」すること、すなわち自分を磨き、学び続け、できることを増やし、変化に適応できる力を身に付けることが重要になります。また、長寿命化により人生百年時代が到来すると言われています。長生きできることはありがたいことですが、働く期間も長くなり、転職を繰り返すことも当たり前になると言われています。だからこそ、節目で「内省」すること、すなわち転機にあたり自分の人生を振り返って、次の歩みに生かしていくことが大切になります。

二つ目は「富士山は西からでも東からでも登れる。道はいくつもある」ということばです。これは、一つのルートに固執すれば、無理が出てきてゆきづまるので、別のルートを探すことで新たな道が開けることを説いた松下幸之助さんのことばです。松下さんは、家庭の事情で小学校を中退し、九歳の時に親元を離れて大阪に働きに出ました。ある時、開通したばかりの路面電車を見て「これからは電気の時代が来る」と直感し、十六歳の時、大阪電灯に入社しました。その後、独立して松下電気器具製作所を設立し、現在のパナソニックへと成長させました。大変なご苦労と試行錯誤を繰り返された松下さんだからこそのことばではないかと思います。

人生すべてが順調にいくわけではありません。時には苦難に出会い、立ち行かなくなることもあるしれません。そうした時、違う見方がないか探してみると意外に道は開けるものです。大事なのは目標を達成することであり、手段については柔軟になることを説いています。

人生、日々「向上」、節目で「内省」、ゆきづまっても「見方を変えて道を開く」を心に留めてほしいと思います。

最後に、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを祈念いたしまして式辞とします。

令和二年二月二十八日                                                                         

愛知県立犬山南高等学校長                                                      福 島  宏